友田名誉院長講演録
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友田名誉院長講演録

医師

平成13年5月12日、札幌市教育文化会館で開催され、友田院長が下記のテーマで講演しました。

1.「経口避妊薬の基礎知識」横浜市立大学名誉教授、水口弘司

2.「いつまでも美しく健康に生きる(ホルモン補充療法を中心に)」
  名古屋大学名誉教授・友田クリニック院長、友田豊

3.「ピルとホルモン補充療法の世界の現状」シェーリングAG医学顧問、カリン・シュミット・ゴルヴィツアー

4.ゲストトーク「男女の機微」小説家、渡辺淳一

最近の論文・講演

  • 「超音波よりみた胞状奇胎の進展課程」 新女性医学体系37、2000
  • 「産婦人科医療とprimary care」 母子健康ー平成12年3月ー
  • 「中高年女性のいきいきライフ」 放送大学愛知学習センター ー平成12年9月ー
  • 「小子化」 月刊 健康 ー平成13年1月ー

「産婦人科医療の斜陽化がささやかれるようなり、医学部卒業生の産婦人科志望者は減少した。 全国医学部、医大の卒業生の約4%が産婦人科を専攻するにすぎず、高齢者を対象とした診察分野への希望者が増加し、時代の流れを色濃く反映している。この日本社会にの一分野における現象を私は日本全体に極めて危険なことであると警告してきた。産婦人科斜陽論が日本衰退につながることは広く世間の関心を呼ぶことにならなかった。
ここ数年、少子化問題についてマスコミ、行政関係者もことの重要性に注目し、種々の政策もおそまきで、不十分ながら施行されるようになった。日本の経済力が低下し、マイナス成長となって国際収支も2020年には赤字化すると日本経済新聞は1995年に予想している。にもかかわらず、日本政府は460兆円の借金を有し、これからの右肩下がりの時代を迎え、これをどのように返済するのかのめどもたっていない。高齢者が多くの預金を持ち、消費をひかえているのも危険を感じているからであろう。現在はやりのIT(情報技術)革命も無理して需要をつくりだすようで、経済の発展に寄与することは出来ても、日本の将来に問題を解決するとは思えない。
緊急にすべきことは適切かつ強力な少子化対策の実行である。子供は社会の宝であり、子供を産み、子育てする人々を社会全体が尊敬し、感謝する社会環境をつくるべきだ。そうでないと、年金も保険も将来、破綻し絵にかいた餅になってしまう。受け取る人が多く、支払う人が少なければ、これらの社会福祉は機能しなくなることは明白である。
具体的には出産、子育てに対し社会全体で総力を挙げて応援する仕組みを作成すべきだ。現在の出産手当を三倍程度と大幅に増額し、教育費の負担を減少させるため、能力に応じ、奨学金を、増すようにする。女性が妊娠中、出産、出産後の休みをとりやすくし、復帰後も働きやすくし、職場環境を改善する。企業は目先にとらわれず、早急に実現してほしい。国は少子化対策を最重要政策と位置づけ、出来るだけ早急かつ強力に実行すべきだ。その結果、出産数が増加に転じた時、 産婦人科斜陽論は消え、日本の将来も明るい展望が開かれてくるだろう。」